今回は「モンティ・ホール問題」をご紹介させていただきます。
モンティ・ホール問題とは
モンティ・ホール問題は、モンティ・ホール氏が司会を務めるアメリカのゲームショー番組で放送されていたあるゲームに関し、ゲームに勝つための確率論について論争が起こったことで有名になった問題です。
賞品当てゲーム
論争の発端になった番組の中のゲームは、挑戦者が賞品を獲得するために、3つのドアの中から賞品の入ったドアを当てるゲームです。
ゲームの流れは、
①挑戦者が、3つのドアのうち、1つのドアを選ぶ。
②司会者が残された2つのドアのうち、はずれのドアを開ける。
(はずれのドアにはヤギが入っていますw)
③司会者が挑戦者に「今なら選びなおせますよ。」と言う。
(当たりのドアは挑戦者が最初に選んだドアか、司会者側に残されたドアのどちらか)
④挑戦者は最初に選んだドアを変更するか、そのまま変えないかを決める。
というもので、最終的に挑戦者が賞品の入ったドアを選べば賞品獲得です。
挑戦者にとっては、④の段階でドアを選びなおすか、そのままにするか悩ましいところですよねw
論争
1990年に、アメリカのマリリン・ボス・サバントさんという女性コラムニストが、読者からのこのゲームに関する質問に答えました。
マリリンさんは「最も高いIQを持っている人」としてギネスブックにも認定された人(IQ228!すごいです💦)で、雑誌に「マリリンに聞く」というコーナーを持っていました。
読者は、挑戦者が最終的にドアを変更すべきか、しないべきかをマリリンさんに質問しました。
マリリンさんは、「挑戦者はドアを〇〇すべきで、そうすれば2倍の確率で賞品を獲得できる。」と回答したのです。
皆さんは、マリリンさんが、「ドアを変更すべき」と言ったのか、それとも「ドアを変更しないべき」と言ったのかわかりますか?
③の段階で、残されたドアは2枚になっているので、④の段階で挑戦者がドアを変更してもしなくても、どちらも確率二分の一で変わらないように思いませんか?それが2倍の違いが出るなんて!
マリリンさんの回答は大論争を巻き起こし、批判の手紙や、高名な数学者からも批判を受けたのです。
しかし、当のマリリンさんは自信たっぷり。その後のコラムでも、批判に対して「知能指数の高い人が子供でもわかる問題をなぜわからないのか。」などの発言をしていたそうです。
コンピューターで何万回ものシミュレーションをしたところ、マリリンさんの言うとおりの結果となることが確認され、マリリンさんの意見が正しかったことが実証されました。
シミュレーションしてみましょう
それでは、シミュレーションしてみましょう。
①の段階で、挑戦者は「A」のドアを選び、②の段階で、司会者が「C」のドアを開けてヤギを出したとします。
③の段階で、司会者は「今なら選びなおせますよ。」と言います。
挑戦者は、このまま「A」のドアで変更しないか、それとも「B」のドアに変更するかを決断します。
AかBのドアのどちらか一方に賞品が隠されていることは確実ですから、そうすると、④の段階での確率は、ドアを変更してもしなくても二分の一のような気がします。
次に、賞品をスポーツカーとして、賞品が隠されているドアのパターンを図で考えてみましょう。
この3パターンしかありません。
この図を参考にしてみると、①の段階で挑戦者が最初に当たりのドアを選べる確率は三分の一ですよね。反対に、外れる確率は三分の二です。
④の段階で、挑戦者は、直観的には確率二分の一の2枚のドアのどちらか一つを選んでいるように感じますが、理論的には確率三分の一のドアのままにするか、確率三分の二のドアに変更するかを選んでいるのです!
理解しやすいように③の段階での司会者の発言をわかりやすく言い直してみると、
「あなたは三枚のうちの一つのドアを選びましたよね。私の手元には三枚のうち二つのドアがあります。今なら私の持っている二つのドアと交換してあげますし、当てやすいように、はずれの一枚は私が開けてからお渡ししますよ。」
と言われていることと同じなのです。
つまり、
選びなおさない→確率三分の一のまま
選びなおす→確率三分の二に上がる
ことがお分かりですよね。
マリリンさんの言うとおり、選びなおしたほうが、2倍の確率で当たるのです!
直観と理論の隔たり
私もこの問題を最初に聞いたときは、解答を聞いても全く理解ができませんでした。
「2倍の確率になる」と言ったマリリンさんの意見を理解するまでに相当考えました💦
モンティ・ホール問題は、人の直観や思い込みと理論や現実の隔たりを説明するのに適した問題です。
ぜひご家族や、友人との話のネタに使ってください!
マリリンさんのように一発で答えられるような人がいたら、相当IQ高い人かもw
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